林野庁 国有林野事業 / 令和7年度 / 治山工事
蔦川地すべり
防止工事
青森県十和田市・蔦国有林114林班内において施工中の地すべり防止工事です。
集水井工・集水ボーリング工・排水ボーリング工により地下水位を低下させ、斜面の安定化を図ります。
国立公園第一種特別地域 水源かん養保安林 砂防指定地 鳥獣保護区特別保護地区 国土強靱化対策事業
Topics
トピックス
2026.07.21
工事情報
井戸の掘削が完了しましたNEW
2026.06.17
工事情報
土捨て場の起工測量を3次元測量で実施しました
2026.06.05
工事情報
工事用道路の3次元点群データを計測しました
2026.05.27
工事情報
チルトローテーター付きバックホウを工事用道路整備に活用
2026.05.27
環境保全
希少植物調査を実施し、対象植物を安全な場所へ移植しました
2026.04.08
工事情報
現場情報サイトを開設しました
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各ページへのリンク
📋
事業概要
蔦川地すべり防止事業全体の概要。発注機関・工事場所・工期などの基本情報。
🏗️
工事内容
集水井工・集水ボーリング工・排水ボーリング工の詳細仕様。数量内訳・構造図情報。
💡
テクノロジー
ICT技術(3次元データ活用)とチルトローテータ(省人化建設機械)の取組み紹介。
⛑️
安全への取組み
現場の安全管理方針・労働災害防止対策・異常気象時の対応マニュアル。
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環境への取組み
国立公園・保安林・鳥獣保護区内での環境保全対策。再生資源利用・廃棄物管理。
📍
現場位置
工事現場のアクセス情報。各基点からの距離・地域区分・現場環境。
Project Overview
事業概要
蔦川地すべり防止工事の全体事業概要。地すべり防止の目的・対象区域・工事規模について説明します。
Purpose of Project
事業の目的

蔦川流域における地すべり地は、青森県十和田市大字奥瀬字蔦国有林114林班内に位置し、十和田八幡平国立公園の第一種特別地域内の貴重な自然環境を有しています。 地すべり活動による土砂崩壊を防止し、水源かん養保安林としての機能を維持するとともに、周辺の自然生態系と観光資源(蔦温泉・蔦沼)を守ることが本工事の目的です。

地下水排除工(集水井工・集水ボーリング工・排水ボーリング工)により地すべり地内の有圧地下水を集水・排水し、 地下水位を低下させることで斜面の安定性を高め、地すべりの再活動を抑制します。

地下水排除工 斜面安定化 森林保全 国立公園保護
蔦川流域 紅葉全景
Project Information
工事基本情報
工事名蔦川地すべり防止工事
施工会社田中建設工業株式会社
工事場所青森県十和田市大字奥瀬字蔦国有林 114林班内
発注機関三八上北森林管理署(東北森林管理局 林野庁)
事業主体農林水産省 林野庁 東北森林管理局
事業年度令和7年度 国有林野事業
工期令和8年3月26日 〜 令和9年2月26日
Background
事業の背景
地すべり標準断面図(概念図)
地すべり 標準断面図(概念図)

蔦川流域の地すべり地は、軽石凝灰岩(溶結部・非溶結部)からなる地質に起因する地すべりが過去から発生しており、これまでに複数の集水井工(No.1〜No.9)が設置されています。

今回の工事では新たにNo.10集水井工を設置し、上段・下段合計20本の集水ボーリング工により1,400mの集水システムを構築。有圧地下水帯を効果的に排水します。

地下水位の低下により、地すべり滑動力の主要因である間隙水圧を減少させ、斜面の長期的な安定を確保します。

Construction Details
工事内容
集水井工・集水ボーリング工・排水ボーリング工の詳細仕様(当初設計)。
1
集水井工
20
集水ボーリング工
(合計延長 1,400m)
66.9m
排水ボーリング工
29.5m
集水井 掘削深度
※ 数量は当初設計値です。
Catchment Well
集水井工 — No.10
既設集水井との連続性
本工事で施工するNo.10集水井は、既設のNo.1〜No.9集水井(過去の地すべり防止工事で整備済み)に続く10基目です。今回の工事により集水・排水ネットワークをさらに拡充し、斜面全体の地下水位低下効果を高めます。
集水井工 No.10 施工状況
集水井工 断面図
構造形式ライナープレート土留工法 B工法
掘削径φ3.50m
掘削深度29.5m(全長30.0m)
土質区分礫質土 6.8m / 軟岩(Ⅰ) 22.7m
L1(土砂類)6.3m / L2(岩類)22.7m
ライナープレートt=2.7mm 径3500mm
補強リング H125×125×6.5×9(めっき後塗装)
基礎コンクリート天端高EL=397.60m
コンクリート口元固定 18-8-40(標準)人力打設
静水槽 18-8-40(標準)
井戸蓋φ3.5m 亜鉛めっき品 2分割 467.0kg
安全柵集水井用 φ3.5m用 杉ロータリー加工丸太製
ライナープレート地上部井戸径3.5m 1m組立
Excavation Completed
井戸の掘削が完了しました
2026年7月21日 掘削完了
集水井No.10の掘削が設計深度29.5mに到達し、2026年7月21日に掘削作業が完了しました。掘削完了後には出来形測定を実施し、所定の深度を確認しています。引き続き、集水ボーリング工・排水ボーリング工へと工程を進めてまいります。
集水井No.10 掘削完了状況
集水井No.10 掘削完了 井戸内部
集水井No.10 出来形測定状況
集水井No.10 井底から上方を望む
Boring Work
集水・排水ボーリング工
上段集水ボーリング工
本数N=12本
合計延長ΣL=840.0m
1本当り延長L=70.0m
打設位置GL-19.75m(井底+19.75m)
打設角度10.0°(仰角)
保孔管VP-40 有孔管
掘削径φ90mm
土質区分軟岩(Ⅰ)区間
下段集水ボーリング工
本数N=8本
合計延長ΣL=560.0m
1本当り延長L=70.0m
打設位置GL-27.75m(井底+27.75m)
打設角度3.0°
保孔管VP-40 有孔管
掘削径φ90mm
集水ボーリング工 施工写真
排水ボーリング工
延長L=66.9m
打設角度-3.0°(俯角・下向き)
保孔管SGP 100A4B(無し)
掘削径φ135mm
土質区分岩塊・玉石〜軟岩(Ⅰ)
Construction Technology
テクノロジーの活用
先進技術の積極的な導入により、施工の品質・生産性・安全性の向上を図ります。
Tilt Rotator
チルトローテーター付きバックホウの活用

本工事では、チルトローテーター付きバックホウを工事用道路の整備に活用しました。チルトローテーターはバックホウのアタッチメントとして装着することで、バケットを左右に傾斜させたり360°回転させたりすることができる装置です。

急峻な山間地にある現場へのアクセス道路では、法面整形・路肩整備・側溝の掘削など、地形に合わせた複雑な施工が必要です。チルトローテーターを活用することで、機械を頻繁に移動・切り返しすることなく、バケットの角度を自在に変えて効率的に道路整備を行うことができました。

施工の効率化・省人化に加え、急傾斜地での機械移動を最小限に抑えることで、安全性の向上にも貢献しています。

省人化施工 工事用道路整備 安全性向上
チルトローテーター付きバックホウ 作業状況
チルトローテーター 道路整備
チルトローテーター バケット傾斜
チルトローテーター 施工状況
Construction Video
施工動画
施工動画 サムネイル

▶ クリックすると別タブで動画が再生されます

Point Cloud
3次元点群データ

ハンディスキャナーで施工区域や工事用道路を計測し、現場の地形や構造物をミリ単位の点群として丸ごとデジタル記録しています。写真や図面では残せない立体的な現況を高精度に把握でき、設計との照合や土量・出来形の確認、施工過程や完成形の記録、関係者との情報共有に活用できます。また、危険箇所に立ち入らず遠隔で現況を確認できるため、省力化や安全性の向上にもつながります。

▶ 実際の3次元点群データを別ウィンドウのビューワーで見る

計測に使用したハンディ3次元スキャナー(RS10)
計測に使用したハンディ3次元スキャナー(RS10)
3D Survey
3次元測量による土捨て場の起工測量

本工事では、土捨て場の起工測量に3次元レーザースキャナーによる計測を採用しました。広範な土捨て場全体の現況を、立木や起伏を含めたありのままの形状で、高密度な3次元データとして記録しています。取得した3次元現況データに残土捨て場の設計形状を重ね合わせることで、切土・盛土の土量をモデル上で精密に算出・管理しています。従来は断面ごとに計算していた土量を、地形全体を面的に捉えて評価できるため、より高い精度で出来形や土量を把握でき、施工前後の比較による定量的な検証や、発注者への説明資料・施工記録としての活用にもつながります。不安定な急傾斜地に立ち入らず、安全な位置から現況を計測できる点も大きな利点です。

3次元測量で取得した土捨て場の現況モデル
3次元測量で取得した土捨て場の現況モデル
設計形状を重ねた切土・盛土の評価
設計形状を重ね合わせ、切土・盛土の土量を算出
3次元モデルの確認動画 サムネイル

▶ クリックすると別タブで3次元モデルの確認動画が再生されます

Safety Management
安全への取組み
「ゼロ災害」を目標に、現場全員が安全意識を持ち、労働災害・事故の未然防止に取り組みます。
Safety Policy
安全管理方針
ゼロ災害の達成

本工事では「ゼロ災害・ゼロ事故」を最優先目標とし、東北森林管理局が定める「労働災害の未然防止」指針に基づき、現場作業員全員が安全意識を持って作業します。労働安全衛生法・森林土木工事安全施工技術指針を遵守し、安全施工を徹底します。

国立公園・保安林・急峻な山間地という特殊な環境での施工のため、一般の工事現場とは異なるリスクに対応した安全管理を実施します。

安全朝礼・KY活動
Safety Measures
具体的な安全対策

深さ29.5mの集水井内部では、土中有機物の分解等による酸素濃度低下や有毒ガスの発生が起こり得ます。作業開始前に酸素濃度・可燃性ガス・一酸化炭素濃度を測定し、安全を確認してから入坑します。

直径300〜400mm程度の送風管を井戸内に配管し常時換気を実施。緊急時の退避場所を確保するとともに、降下・上昇時間を考慮した安全確認体制を整えています。

送風管設置
換気作業
酸素濃度測定
ガス測定器

ライナープレートや重機材の搬入・搬出作業では、深い井戸内に吊り荷を降ろすためクレーン運転者から内部の状況が直接見えません。クレーンのブームにカメラを装着し、運転室のモニターで井戸内の状況をリアルタイムで確認しながら安全に玉掛け・搬入作業を行える体制を構築しています。

モニター確認
クレーンカメラ
冷却グッズ
WBGTモニター
水分補給
休憩確保

本工事は「熱中症対策に資する現場管理費補正」の試行工事に指定されています。WBGTモニタリングを実施し、暑さ指数に応じた作業制限・休憩確保を徹底します。こまめな水分・塩分補給、冷却グッズの活用と日陰の確保を組み合わせ、山間地特有の高温多湿環境での熱中症を予防します。

国立公園内の施工のため、山火事の発生防止を徹底します。林野火災警報・注意報の発令情報を常時把握し、発令時は火の使用を制限します。溶接・切断等の火気作業前は周辺の可燃物を除去し、消火器・消火バケツを作業箇所に配備します。

消火器配備
火気管理
ハチ対策
ハチの巣確認

山間地での施工のため、スズメバチをはじめとする蜂の巣が形成されるリスクがあります。作業前に周辺の蜂の巣の有無を確認し、発見した場合は即座に作業を中断して対応します。蜂刺されが発生した場合は速やかに作業を中断し、適切な応急処置を行います。

蔦川流域は十和田八幡平国立公園内に位置し、クマの生息地域です。近年の出没件数増加を踏まえ、作業員が山中を移動・測量する際は必ず熊鈴・ラジオ・クマ除けスプレーを携行します。作業箇所には「熊注意」標識を設置して注意喚起を行い、単独での山中作業を禁止しています。

熊対策 注意標識
熊対策グッズ
AED設置

現場事務所にAED(自動体外式除細動器)を設置しています。管理者が定期的にバッテリーおよび電極パッドの使用期限を確認・管理します。また、作業員全員がAEDを使用できるよう定期的な救命講習を実施しています。最寄りの医療機関から遠い山間地でも、万一の心停止時に迅速に対応できる体制を整えています。

定期的な避難・救急訓練を実施し、緊急時の対応力を高めます。また、現場に雨量計を設置して降水量を常時監視しています。時間雨量30mm・累計降雨量100mmに達した時点を作業中止の目安とし、土石流等の自然災害から作業員の安全を守ります。

モニター安全訓練
安全訓練
雨量計 記録器
雨量計 野外設置
工事看板
進入禁止標識
バリケード設置
立入禁止柵

施工区域は登山者・観光客が利用するエリアに近接しています。工事箇所への関係者以外の立入りを防止するため、工事看板・バリケードおよび「関係者以外立入禁止」の進入禁止柵を適切に設置します。工事車両が道路と現場を出入りする際には誘導員を配置し、工事関係車両と一般利用者の接触を防止します。

深さ29.5mの集水井内部での作業における最大リスクが転落です。単管パイプまたはライナープレートを用いて、高さ85cm以上の手摺りを掘削面に取り付け転落を防止します。休憩中および休工時は安全ネットを取り付けて開口部を覆い、常に墜落防止措置を講じます。

転落防止 安全ネット
転落防止 安全ネット

その他にも各種法令・基準等に則って安全施工を進めていきます。

Environmental Management
環境への取組み
国立公園・保安林・鳥獣保護区内での施工のため、自然環境の保全と調和を最優先に取り組みます。
Environmental Policy
環境保全の方針

蔦川地すべり防止工事の施工区域は、十和田八幡平国立公園の第一種特別地域・水源かん養保安林・鳥獣保護区特別保護地区・砂防指定地に指定された、自然環境上きわめて重要なエリアです。

施工に際しては環境への影響を最小限に抑えるため、工法の選定・使用機械・施工時期・廃棄物管理等のあらゆる面で環境配慮に取り組みます。

希少植物調査
Environmental Measures
具体的な環境対策
🌿 希少植物の調査・保護
希少植物の調査・移植(実施済み)
施工区域内での希少植物の生育状況を調査し、該当する植物を確認の上、施工の影響が及ばない安全な場所へ移植を実施しました。
🌾 域外植生種子の移入防止
外来種・域外種の持込み防止
施工で使用する重機・車両への種子付着を防ぐため、現場入場前に洗浄を実施します。域外産植物の種子が国立公園内に持ち込まれないよう徹底管理します。
💧 濁水処理設備の採用
濁水の適切処理と油汚染対策
ボーリング工の施工で発生する濁水(スライム)をバイオログフィルターPADで濾過・沈殿処理し清澄水として再利用します。油汚染への備えとして環境対応型洗浄剤も現場に常備しています。
Rare Plant Protection
希少植物の調査・保護

施工に先立ち、施工区域内における希少植物の生育状況を調査しました。調査の結果、該当する植物を確認したため、施工の影響が及ばない安全な場所への移植を実施しました。

移植後も継続的に生育状況を確認し、植物の保護に努めます。

希少植物調査状況
移植対象植物
移植作業状況
Invasive Species Prevention
域外植生種子の移入防止

施工で使用する重機・車両への種子付着を防ぐため、現場入場前に洗浄を実施します。域外産植物の種子が国立公園内に持ち込まれないよう徹底管理します。

域外植生種子移入防止 重機洗浄
Turbid Water Treatment
濁水処理設備の採用

ボーリング工の施工で発生する濁水(スライム)は、バイオログフィルターPADによって濾過・沈殿処理を行い、清澄水として再利用します。また、油漏れ等の突発的な汚染事故に備え、環境対応型洗浄剤(アースクリーン)を現場に常備し、土壌・水質汚染の防止に努めています。

バイオログフィルターPAD アースクリーン
濁水処理設備模式図
Site Location & Access
現場位置
青森県十和田市大字奥瀬字蔦国有林114林班内。蔦温泉バス停から1.5kmの山間地。
Location Map
工事現場位置